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2009/06/03

【冬サミ2008:観劇レポ3】旧劇団スカイフィッシュ『適切な距離』

「冬のサミット2008」3団体目。
旧劇団スカイフィッシュ『適切な距離』
2009年2月13日(金)19:30の回鑑賞

アフタートークでも話したのですが、ざっくりと感想を言うと「残念だった」「拷問だった」「疑問が残った」という3つの感想になる。
すべて否定的なニュアンスなのだけれど、それはやはり僕の中にあった密かなる“期待”がそういう感想を抱かせたんだと思っている。

まず「残念だった」というのは、このブログでも以前に書いたのですが、簡単に言うと僕が昨年の7月に観た『適切な距離』ワークインプログレス1で面白いと感じた部分が、今回の本公演でもあまり発展せず、むしろ、なにか収まらなければならないものに収めてしまったような印象を受けたから、それがとても残念だった。
ワークインプログレス1は普通のカフェでおこなわれた公演で、営業時と変わらないカフェの椅子やソファに座っている観客のテーブルを俳優が順番に回っていき、エピソードを話しかけていくという上演形態だった。エピソードを話し終わると必ず質問を受け付ける時間があり、そこで俳優と観客との具体的な関係性生まれる。そして、全員のエプソードを聞き終わると、そのエピソードが同窓会というひとつのシーンに繋がり、その同窓会会場として、観客と俳優がいるその場(公演会場であるカフェ)が立ち現れてくる。
この、いわゆる観客と舞台、または観客と俳優という関係性ではない距離感覚というか、そういうものが面白いと思ったし、まだまだ面白くなりそうな予感がしたのだけれど、11月のワークインプログレス2では、会場が《劇場》という空間に変わったことで、つくり手側も観客側もなにか劇的なものとして作品を組み立ててしまい、観客:舞台という構造から抜け出せていなくて、むしろ劇場という空間の強靭さだけが観えてきてしまい、とても退屈だった。
で、今回、この2回のワークインプログレスを経て、作品がどのよう立ち現れてくるのかということに非常に興味があったし、楽しみにしていた。勝手な想像だけど、もう、舞台上に俳優すらでてこなくて、実は観客の中に俳優がずっといてそのままわかんない状態で芝居が始まって終わっちゃっても良いんじゃないか、そこまでいっちゃて良いんじゃないか、いや、むしろいってくれ!と思っていた。けれど、今回の本公演も基本的には11月のワークインプログレス2を踏まえたものになっていて、それはとても残念だった。

「拷問だった」というのは、もちろん観る人によって感じ方は違うと思うし、それが良い悪いという意味ではなくて、僕には拷問のような作品だったということです。
観ている間ずっと、常に俳優の言っていることを聞いていなくちゃいけない、意識を逸らしちゃいけないというような感覚があって、それは僕にとってはキツい体験で、もちろん、舞台を観る側は受け手ということになっているから、ま、基本的にはそうなんだけど、観る側の意識を強いるような演出にするときに、やはりそこに必然性がないと、それはもうただの拷問になってしまうと思う。今回の演出にはその必然性を感じ取れなかった。だから悪い意味で拷問だった。

最後の「疑問が残った」というのは、作品として最終的にどういう点に集約させるのかということが分からなかったということです。
観ているあいだ、あ!舞台を造る行為というのは要するにこういうことか!と思える瞬間があった。俳優が不特定多数の人の前に晒されて、言葉をしゃべったり、アクションをしたりする行為がすごくペラペラに観えた。おそらくそいうことも演出的には敢えてやっているのだろうし、俳優の立ち方がスベるの覚悟でネタを披露する売れないピン芸人のような、ある意味生け贄的存在に観えたのも面白かった。もしかしたら舞台って基本的にはこうことかなっていうふうに思って、それはそれでとても興味深かった。けれど、演出的にそういうことをやったとき、作品として、どういうところに着地したのかということが分からなかった。
つまり、作品(小説)の内容と演出が乖離している印象を受けた。
演出がアイデアしかないというか、作品に対して必然性を持っていないということが明らかで、それでは観客の頭には「?」しか残らない。

でも、こういう試みを続けていけば、面白くなっていきそうな余地はまだまだあると単純に思った。
いつか、舞台と観客という距離感に新たな刺激を与えてくれるんじゃないか、そういうことをもっともっと突き詰めていってほしい、と思った。

*旧劇団スカイフィッシュ関連記事*
観劇レポート『適切な距離-ワークインプログレス2』08/12/11
稽古場レポート09/02/06
稽古場レポート09/02/09


サミディレ・杉原邦生

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